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META FLOWER - THE PRIEST(CD)

¥3,300 税込

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彫刻家としても知られるラッパーのMeta Flowerが1stアルバム『The Priest』を2023年5月24日にリリースする。

LSBOYSからの脱退やメジャーでのリリースを経てリリースされる本作は、yahyelのメンバーとしても知られるMiru Shinodaをエグゼクティブ・プロデューサーに迎えておよそ約一年の時間をかけて制作された。

本作には他に、ビートメーカーのATSUKI、クラシックピアニストのTsukasa Shiraseが参加。また、PUNGOをはじめ、裸のラリーズ、腐っていくテレパシーズ(角谷美知夫)、パラダイス・ガラージ(豊田道倫)、ストラーダ、FLYING RHYTHMSなどでの活動が知られるドラマーの久下恵生も参加している。

レコーディングはEVOEL STUDIOとTsubame Studioで敢行され、ミックスはAtsu Otaki、マスタリングはWax Alchemyがそれぞれ手がけた。


【TRACK LIST】
1. ///// (prod. Miru Shinoda)
2. Home Sweet Home (prod & Mixing. ATSUKI / piano. Tsukasa Shirase)
3. Bye Bye Blackbird (prod. Miru Shinoda / Guitar & Bass. Miru Shinoda)
4. FIGARO (prod. Miru Shinoda)
5. Extreme Love from Northern Tokyo (prod. Miru Shinoda / piano. Tsukasa Shirase)
6. Adult Swim (prod. Miru Shinoda)
7. Rest Haven for Hoes [session] (drums. Yoshio Kuge / piano. Tsukasa Shirase / prod. Miru Shinoda / Recording. Tsubame Studio)
-Disk only Bonus Track-
8. Dawn of The Street (prod & Mixing. ATSUKI / piano. Tsukasa Shirase / chorus. Yuka Miyoshi, Mami Nishimoto,Fuko Mizuno, Yudai Sakai)

Recording & Mixing. Atsu Otaki / Mastering. Wax Alchemy
Design. Atsushi Yamanaka / Photo. Mumuko



Meta Flower - 『The Priest』

 Meta Flowerの1stアルバム『The Priest』は、失意の酒と涙に落ちぶれた司祭のハードボイルドな告白録である。アウグスティヌスの『告白』が天上の神との対話や信仰に収斂していくものであったのに対して、Meta Flowerは徹底して地上にとどまりながら苦悩する。Meta Flowerは彼と交差する人間や人生の悲劇に向き合い、何度も打ち砕かれ、何度も立ち上がる。 
 近年のMeta Flowerの彫刻作品が、地下での爆発エネルギーを発泡ウレタンに受肉させ地上に引き上げるものであったとすれば、『The Priest』は肉の苦しみ—シモーヌ・ヴェイユ風にいえば「重力」と呼べるかもしれない—を言葉と音響によって地上に屹立させようとする試みである。

 「常日頃 神を引き摺り降ろす仕事」と啖呵を切る「/////」でアルバムは幕を開ける。変調されたアーメンブレイクを導きの糸にしてブーンバップとベースミュージックの境界をぼやかしながら、Meta Flowerの寄る辺無き心境を投影した日没間際の荒野を疾走する。

 続く「Home Sweet Home」ではTsukasa Shiraseの感傷的なピアノとAtsukiによる骨太のビートに寄りかかりながら自らの家族の崩壊を告白し、「Bye Bye Blackbird」ではレイドバックしたビートの上で亡き友に思いを馳せる。この二曲に通底するのは失われてしまったものを悼む喪の感情であるが、Meta Flowerは歯を食いしばりなんとか踏み止まろうとする。一転してアルバムの中間地点となる「FIGARO」では、Meta Flowerが直面したアートシーンの不条理を喜劇として描き出す。

 アルバムのアンセムとなるのは、五曲目の「Extreme Love from Northern Tokyo」である。ここでMeta Flowerは人生を一枚の絵画に例えながら、彼が直面した苦しみや情景を噛み締めるように塗布し、その中から一握りの美しさをなんとか抽出しようと試みる。アンドロジナスな質感を帯びたボーカルサンプルが天上からの声であるとするならば、そこに対置されるMeta Flowerのラップは肉の痛みを引き受け、それでも地上でもがこうとする。「生きている そう この元に 光をください」「I don’t wanna die いっそ消してくれよ 俺のMemories 渇き」という一連のリリックが示すように、苦しみの渦中においてもあくまで地上にとどまりながら光を見出そうとすることが希求される。これはMeta Flowerの根源的な作家論でもありそれと表裏一体の人生論でもある。「Extreme Love from Northern Tokyo」とは、人生という絵画平面の中に肉の痛みや苦悩を塗りつけ、その中からなんとか一筋の美的なものを見出そうとする実践の宣言である。それは、Meta Flowerのアーティストとしての姿勢の表明なのだ。
 そのバトンを引き継いで力強く歩みを進めるかのように「Adult Swim」においては金属の軋みにまで還元されたブーンバップのビートが容赦無く疾駆する。アルバムの大半を占めてきた喪の感情はここにおいて後景化し、現代社会批判が力強くスピットされる。
 そしてアルバムは、ドラマーの久下恵生とスタジオで一発録りしたセッションを元に制作された「Rest Haven for Hoes」で終幕をむかえる。暴力という支配的なコミュニケーション手段に対して、詩や美術による表現が対置され、Meta Flowerは自分に言い聞かせるように「居場所 あなたがここの」と繰り返す。ヒップホップのループがもつ円環的な時間構造とは異なるあり方で、セッションは静かに熱を帯びていき、オーバーダブされたローズやノイズが交錯しアルバムはやがて閉じられる。

 『The Priest』はヒップホップの鍵概念である「ストリート」を、Meta Flowerというひとりの語り部を通じて、地上での生の苦しみという普遍的な命題に解体した作品である。エグゼクティブ・プロデューサーのMiru Shinodaを筆頭に、久下恵生やTsukasa Shiraseなど、ヒップホップ外部のプレーヤーを迎えて制作された本作は、音響的にもヒップホップの境界線になんとかとどまりながら、あくまでその領野を押し広げようとしている。『The Priest』は異形でありながらも、日本語ラップの可能性を拡張しようとする正統派的なヒップホップ・アルバムである。



【PROFILE】
東京を拠点に活動するラッパーかつ彫刻家。1994年生まれ、神奈川県藤沢市出身。言葉をリスナーの鼓膜に叩きつけるスポークン・ワードのラップと、地中で爆弾を起爆した一瞬の衝撃を象る彫刻は、それぞれの分野において、アンダーグラウンドから発し ながらオーバーグラウンドをも震わせる鮮烈さを持っている。これまでにラッパーとしてEP「DADA」やシングル「FLOW(feat. BES)」「ANDROMEDA」「LIFE(feat. LSBOYZ)」などの作品をリリース。彫刻家としても渋谷西武やGINZA SIXなどで個展を開催してきた。

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